キル・ビル
例の映画に出てた役者の人が亡くなったという話ではなく――こんちくしょう、ヤマビルにやられたというお話。
久々のお天気で、ついちょっぴり山歩きでもしたくなった。軟弱な山歩きなら城山もいいけど、ふとずっと前に初冬に行った松茸山に足を伸ばしてみようかと思った。たしかあのへんはヤマビルが出るって話だったよなあとは思いつつ、さっさと歩いて数十分で引き返すだけならいいかとたかをくくったのがいけなかった。
水沢橋の駐車場に車をとめると、川辺で遊ぶ家族連れなどで結構賑わっていた。吊り橋を渡ったところで気休めの防虫スプレーを手足にまいて、いざ入山。いきなりヤマビルに注意の看板がある。でも遊歩道は草も生い茂っていないし、たったか歩けばいいかなあなんてここでも油断している自分がいた。
結構急な登りだが、道が適度につづら折りになっているため、それほどきつくはない。階段の材木に小さなスギヒラタケらしきものが生えていたり、指サックのようなノウタケの幼菌が濡れた地面からひょっこり顔を出していたりはしたが、あまり大きなきのこはない。しかし携帯のストラップが突然切れたのは、今にして思えば最後の警告だったのか。茨城県立きのこ博士館で買ったお気に入りのきのこストラップだったのに。
そんなふうにして20分ほど登ったところで、念のため足元を確かめようと右の靴を脱いでみたら……いた。靴下に3匹くっついている。すぐにスプレーで弱らせてからはぎとるが、これが氷山の一角なのは想像がつくので、すぐに柔らか戦車のごとく「退却~」を決定。よく見ると立ち止まった靴めがけて尺を取ってくる奴らがいるじゃないか。それも結構な速さだ。これなら歩いていても運良く靴に飛びつける奴らがいても不思議はない。
20分かけて登った道を10分もかけずに下って吊り橋のたもとまで来ると、リュックを背負った若い男性と普段着姿の年輩の男性が語らっている。とりあえずそばの東屋でヒルを退治しようと向かうと、「ヒルにやられませんでしたか」とふたりから声を掛けられた。どうやら若い男性もヒルに吸い付かれたらしく、5分ほどで戻ってきたとのこと。僕が先に行くのを見ていたらしく、大丈夫かなあと思っていたそうだ。さっそく靴を脱ぐと、両足の靴下に何匹かくっついていて、3匹は靴下の上の端までのぼって血を吸っていた。スプレーで弱らせてからつまむところりと取れたが、血液凝固阻害酵素のおかげでだらだらと血が止まらない。若い男性も下着まで入っていないか心配していて、Tシャツを脱いで背中を見てくれませんかと訊いたりしている。
靴の中もまだいそうだし、そんなこんなで帰り道にある鉱泉に入ってしっかり身を清めて帰ることにした。余談だがこの鉱泉、なんと1200年以上の歴史があるという。600円なのでときどき使わせてもらうのだが、脱衣所の壁に変色した貼り紙があり、昭和33年の日付の時点で1200有余年の歴史があると記されている。てことは、奈良時代から? ほんまかいな。
というわけで、帰宅して血の付いたズボンをお湯で洗い、そのまま洗濯機を回し、傷口に虫さされを塗って絆創膏を貼って、晩飯を食って、一息ついたところです。いやあ参ったな。傷口の写真をアップするのは自粛しよう。
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